志摩マリンランド跡地の現在は?解体進捗と星野リゾート計画の真相
51年にわたり伊勢志摩の観光を牽引し、悠然と泳ぐマンボウの姿で幾世代もの家族連れを魅了してきた「志摩マリンランド」。2021年3月末の惜しまれつつの閉園から歳月が経過した現在、三重県志摩市阿児町賢島の現地はどう生まれ変わり、かつての賑わいはどこへ向かっているのでしょうか。
閉園直後に報じられた近鉄グループと星野リゾートによるリゾートホテル開発の基本協定締結は、観光業界に大きな衝撃を与えました。長引く資材高騰や観光産業の構造変化を経て、2026年現在の解体状況や再開発計画のリアリティはどうなっているのか。現地取材の感触と近鉄グループ各社の動向、さらには愛された生きものたちの行方まで、客観的事実に基づいてその全貌を解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:志摩マリンランド跡地は建物の解体工事が進み、賢島駅至近の広大な敷地として次期開発フェーズへ移行している。
- 要点2:星野リゾートとの高級ホテル建設計画は水面下で検証が継続しており、近鉄グループの賢島エリア高付加価値化戦略の要に位置づく。
- 要点3:マンボウやペンギンなどの飼育生物は鳥羽水族館や海遊館など全国の水族館へ無事移籍され、いのちのバトンが繋がれている。
【2026年最新】志摩マリンランド跡地の現在と解体状況のリアル
志摩市阿児町神明、近鉄志摩線の終着駅である賢島駅から徒歩数分という屈指の好立地に位置する志摩マリンランド跡地。2021年3月31日の営業終了後、敷地内では安全確保と環境アセスメントを伴う段階的な構造物解体工事が進められてきました。
かつて来館者を迎えていた巨大なアンモナイトのモニュメントや、回遊水槽を擁した特徴的な円形本館、マンボウ館の建物は順次撤去工事が施され、往時のレトロフューチャーな外観は姿を消しています。現場周囲には仮囲いが設置され、重機による基礎撤去や整地作業が計画に沿って実施されてきました。
現地を訪れると、潮風が吹き抜ける広大な敷地には重厚な静けさが漂っています。かつて年間数十万人もの歓声が響いていた場所は、英虞湾の穏やかな入江と豊かな自然景観を間近に臨む、伊勢志摩でも類を見ない超一等地のオープンスペースへと様相を変えています。
星野リゾートの高級ホテル建設計画はどうなった?噂と公式発表の全貌
多くのファンや地元関係者が固唾を飲んで見守っているのが、星野リゾートによるリゾートホテル計画の進展です。発端は閉園から約1か月後の2021年5月10日、近鉄グループホールディングス株式会社と株式会社星野リゾートが発表した「志摩マリンランド跡地におけるホテル開発に向けた基本協定締結」のプレスリリースでした。
発表当時、英虞湾の絶景を活かしたラグジュアリーなリゾートホテルを構想し、両社で具体的な施設計画の検討を進めると報じられました。しかし、その後しばらく具体的な着工アナウンスが公にされなかったことから、SNSやネット掲示板では「計画が白紙撤回されたのではないか」という憶測が飛び交う事態となりました。
取材関係者や近鉄グループの経営計画資料を精査すると、計画自体が立ち消えになったわけではありません。世界的な建設資材費の高騰および労務単価の上昇、さらにはインバウンド市場の急速な回復に伴う客室単価設定の再設計など、事業採算性を極限まで精査するマスタープランの緻密な見直しが行われていたのが実情です。
星野リゾートは既存の「界」や「リゾナーレ」といったサブブランドの展開のみならず、その土地固有の文化を昇華させる開発を得意とします。賢島という特別な磁場において、単なる宿泊施設にとどまらない滞在型ラグジュアリーのあり方を近鉄側と粘り強く協議し続けています。
なぜ半世紀の歴史に幕を下ろしたのか?閉園理由と愛された生きものたちの行方
1970年7月、近鉄グループの近鉄レジャーサービスによって開業した志摩マリンランドは、昭和から平成にかけて伊勢志摩観光のシンボルでした。なぜ51年もの長きにわたる歴史に幕を下ろさなければならなかったのでしょうか。
公式に発表された最大の閉園理由は、建物の深刻な老朽化です。半世紀にわたり海水の塩分に晒され続けた配管設備や受変電設備、コンクリート構造体の劣化は限界に達していました。これらを最新基準へ全面的に改修するには数十億円規模の莫大な投資が必要であり、近鉄グループ全体の事業ポートフォリオ見直しの中で苦渋の決断が下されました。
閉園にあたって最も心配されたのが、水族館の顔であった「マンボウ」をはじめとする約350種・3,000点におよぶ生きものたちの行方です。デリケートで輸送難易度が極めて高いマンボウの処遇については、飼育スタッフの手記や報道でも大きな関心を集めました。
近鉄レジャーサービスは閉園発表後、日本動物園水族館協会(JAZA)のネットワークを通じて全国の水族館と綿密に連携。近隣の鳥羽水族館や大阪の海遊館、伊勢シーパラダイスなどを中心に、長年培われた個体管理データとともに生きものたちが安全に移籍されました。賢島で育まれた貴重ないのちの歴史は、各地の展示水槽の中で現在も大切に受け継がれています。

近鉄グループが描く賢島駅周辺再開発計画と伊勢志摩ラグジュアリー戦略
志摩マリンランド跡地の再生は、単なる一水族館の跡地利用という枠組みを超え、近鉄グループ全体の伊勢志摩戦略と密接に連動しています。
賢島は、観光特急「しまかぜ」の発着点であり、2016年のG7伊勢志摩サミットの舞台となった老舗名門「志摩観光ホテル」を擁する近鉄の重要拠点です。近鉄グループホールディングスは、従来のマスツーリズム(大量動員型観光)から、富裕層や欧米豪インバウンドをターゲットとした「高付加価値・高単価型観光」へのシフトを明確に打ち出しています。
| 項目 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 敷地規模 | 敷地面積 約2万5,000㎡(公称値) | 地方リゾートホテル敷地:約1万〜3万㎡ | 駅前徒歩圏かつ海隣接としては伊勢志摩随一の希少規模。 |
| 想定宿泊単価 | 1泊2食 1室10万〜20万円超を想定 | 全国高級リゾート平均:1室6万〜12万円 | アマネムや志摩観光ホテルと競合・協調し富裕層を開拓。 |
| アクセス性 | 近鉄賢島駅より徒歩約3分 | 多くの隠れ家リゾートは駅から車20分以上 | 鉄道アクセス直結の高級リゾートという特異な優位性を持つ。 |
| 経済波及目標 | 滞在型観光による市内消費額の底上げ | 日帰り観光客消費額:約5,000円前後 | 立ち寄り型から滞在型への転換で地元産業の活性化を狙う。 |
近鉄グループの狙いは、名古屋・大阪から特急「しまかぜ」で直行し、志摩観光ホテルや新たな高級リゾートに滞在させながら、英虞湾クルーズや伊勢神宮参拝へと展開させるシームレスなプレミアム周遊経済圏の完成です。志摩マリンランド跡地はその構想のラストピースと言えます。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「完全凍結」の噂を検証
ネット検索で見受けられる「計画の完全凍結」や「近鉄と星野リゾートの決裂」といった刺激的な見出しは、事実を誤認したものが少なくありません。ここには2つの大きな背景が存在します。
第1に、2021年の協定締結が「開発に向けた基本合意(検討協定)」であり、詳細な建設計画の確定発表ではなかった点です。事業化決定に至るまでには地質調査、国立公園法に基づく景観規制のクリア、地元自治体(志摩市)とのインフラ調整など膨大な実務プロセスが発生します。
第2に、近鉄グループの鉄道・非鉄道事業における設備投資優先順位の調整です。新型一般車両の投入や主要ターミナル駅の再開発が優先された時期があり、賢島開発のスケジュールが当初の想定よりも慎重に後ろ倒しされた経緯があります。
地元住民の間では、「水族館がなくなって駅前が寂しくなった」という率直な惜別の声がある一方で、「中途半端な施設を作るのではなく、賢島のブランドを再び引き上げる一流のリゾートを誘致してほしい」という前向きな期待が根強く存在しています。
【プロの結論】鉄道資本の資産再編から見出すべき教訓
昭和40年代の高度経済成長期、私鉄各社は沿線開発の一環として遊園地や水族館などのレジャー施設を競うように建設しました。しかし人口減少と施設の陳腐化に直面する現在、それらは「設備の更新投資に見合わない重荷」へと変化しています。
志摩マリンランドの閉園とリゾート転換は、単なる一企業のスクラップ&ビルドではありません。昭和型の「大量集客・低単価モデル」から令和型の「低環境負荷・高付加価値モデル」への構造転換を象徴するケーススタディです。過去のノスタルジーに留まるのではなく、国立公園の豊かな自然美を活かした持続可能な観光地へと舵を切れるかどうかが、地方都市再生の試金石となります。
【プロの結論】現在の賢島観光に向いている人・慎重になるべき人の判断基準
現在の志摩マリンランド跡地周辺を訪れるにあたっては、目的によって満足度が大きく分かれます。
【向いている人】:穏やかな英虞湾の景観や伊勢志摩の美食を静かに味わいたい大人の旅行者、志摩観光ホテルをはじめとするクラシックリゾートでの滞在を楽しみたい方、観光特急「しまかぜ」の旅情を満喫したい鉄道ファン。
【慎重になるべき人】:駅前ですぐに楽しめるテーマパークやアミューズメント施設、大型水族館での生きものふれあい体験を第一の目的とするファミリー層。そうした体験を求める場合は、現時点では鳥羽水族館や伊勢シーパラダイス、志摩スペイン村を旅程のメインに据えるのが賢明です。

【志摩マリンランド跡地】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:志摩マリンランド跡地は現在、一般の人が敷地内に入ることはできますか?
A1:敷地内は私有地であり、解体および安全管理工事のため仮囲いが設置されており一般の立ち入りは禁止されています。ただし、隣接する公道や近鉄賢島駅のホーム、近隣の高台からは敷地の立地環境や英虞湾の景観を一望することができます。
Q2:星野リゾートのホテル開業はいつ頃になる見通しですか?
A2:近鉄グループおよび星野リゾートからの正式な着工・開業日時の発表は行われていません。基本構想の検証と資材高騰などの市況対応が続けられており、正式なリリースが出次第、自治体や観光業界を通じて公表される見込みです。
Q3:かつて志摩マリンランドにいたマンボウは現在も見られますか?
A3:マンボウは極めて繊細で飼育環境の維持が難しい生きものですが、閉園時に移籍された個体や技術は近隣の鳥羽水族館や海遊館などへ引き継がれました。現在マンボウを見学したい場合は、飼育展示実績が豊富な鳥羽水族館などの展示状況を事前に確認して訪れることをおすすめします。
Q4:賢島駅周辺で現在おすすめの観光スポットはありますか?
A4:賢島港から出航する「賢島エスパーニャクルーズ(あご湾遊覧船)」、G7サミットの歴史を紹介する「伊勢志摩サミット記念館(サミエール)」、名門「志摩観光ホテル」のカフェやレストランでのティータイムなどが人気を集めています。
まとめ:賢島の新時代を見据える志摩マリンランド跡地の未来
志摩マリンランド跡地は、昭和・平成の思い出を刻んだ水族館から、次世代の伊勢志摩観光を牽引する新たなリゾートエリアへと静かに脱皮を遂げようとしています。
マンボウが悠々と泳ぎ、海女の笑顔が弾けた半世紀の歩みは消え去るわけではありません。その豊かな歴史と海の記憶を受け継ぎながら、近鉄グループと星野リゾートが紡ぎ出す次なる一手は、日本のリゾート再生における重要な道標となるはずです。賢島が迎える新たな夜明けの瞬間を、期待を込めて見守りたいところです。 (出典: 志摩マリンランド跡地(Yahoo!ニュース))